素直になれない、金曜日


「砂川くんは紅茶かコーヒー、どっちがいい?」




砂川くんは大人びているし、コーヒーが似合いそう。それも、ブラックの。


そう思いながら聞いたのだけれど。




「……ごめん」


「へ?」




何に対して謝られたのかがよくわからなくて、きょとんとすると。




「俺も……、ココアでもいい?」




仏頂面の砂川くんの口から零れた “ココア” というかわいらしい単語が不釣り合いで。


ちらりと見える頬が心なしか赤く染まっているように見えて。


それが可笑しくってふふっ、と吹き出しそうになるのをぐっと堪えた。




「じゃあ、ココア淹れるね」




もしかして、砂川くんって見かけによらず甘いものが好きだったりするのかな……なんて思いながら、棚の中から青いマグカップをもう一つ取り出す。


それから、ティーバッグもひとつ。




私は、コーヒーか紅茶なら紅茶の方が好き。



……というより、コーヒーの美味しさを理解するには、まだ私の味覚が子供すぎるだけかもしれない。



ちなみに一番好きな飲み物は、と聞かれるとそのどちらでもないのだけれど。





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