素直になれない、金曜日

飲み物を淹れた4人分のカップを載せたトレイを持ってキッチンからリビングに戻れば、待ち構えていたように小春が飛びついてくる。


熱い飲み物を持ってるんだから危ないでしょ、とたしなめて。



トレイをガラスのローテーブルに置いてから改めて小春をおいで、と手招く。



素直にぴょんっと飛び込んでくる小春は、自分で言うのもなんだけどお姉ちゃんっ子なんだと思う。


そんな我が妹がかわいくて、ふふ、と微笑んでいれば葵依ちゃんもおずおずと近づいてきてくれた。



どうやら小春がこっちに来るように呼んだみたい。



それからしばらく、小春が嬉々として話す保育園での話を葵依ちゃんも交えつつ、聞いていたのだけれど……。




「っくしゅ、」




突然くしゃみが出て、身体がふるりと震える。




「ねーたん大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」




小春が心配そうに首を傾げたから、咄嗟にそう答えたけど。



……ちょっと、肌寒いかも。



ゾクッと寒気がして、それからはたと一つのことに思い当たった。




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