素直になれない、金曜日


雨が降り出して、私の家に向かうことが決まったときにお母さんに連絡していたから。


小春をひとりで家に置いていくわけにはいかないし、きっと、私が帰ってくる時間に合わせて買い物に出かけたのだろう。



ふむ、と納得して、
階段を降りてリビングに戻る……と。




「えっ」




思わず小さく声が漏れる。

だって。




「駿おにいちゃん!」




目に飛び込んできたのは、小春が砂川くんの膝の上に飛び乗っている光景で。


信じられなくて、唖然とする。





たしかに、小春は人懐っこい方ではあるけれど。


私が着替えに行っていたのなんて、ほんの十数分のことだ。
いくらなんでも、懐くのが早すぎるというか。




それ以上に、それを受けとめている砂川くんの満更でもない表情に、もっと驚いた。




勝手なイメージだけど、砂川くんって大人っぽいし、クールだし、小さい子と戯れているところが想像できなかったから。

葵依ちゃんは、例外として。




そんな砂川くんが自然に小春と一緒にいて 穏やかな表情を浮かべていることにびっくりして、その様子を思わずじっと見つめていると、私の視線に気づいた彼とばちりと目が合った。




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