素直になれない、金曜日
その瞬間、頭の中で砂川くんの声がリピート再生される。
『女の子なんだから、体、大事にしなよ』
リビングを出る前に投げかけられた言葉。
砂川くんが口にした “女の子” というワードに過敏に反応して、胸がきゅう、と詰まる。
女の子、かあ。
砂川くんの目に、私はちゃんと女の子として映っていたんだって、なぜかそれだけのことで胸がいっぱいになった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、砂川くんはじっと私を見据えたかと思えば、ふと気づいたように口を開いた。
「 “小春” と “ひより” で合わせて “小春日和”?」
「えっ……?あっ、うん、そうだよ」
突然呼ばれた名前にどきまぎしつつ、頷いた。
そう、砂川くんが言う通り。
小春の名前は、彼女が生まれた日がちょうど小春日和だったから、私の名前と合わせて付けられたの。
唐突すぎる話題に戸惑ったけれど、その戸惑いなんて次の一瞬できれいに吹き飛んだ。