素直になれない、金曜日


その瞬間、頭の中で砂川くんの声がリピート再生される。



『女の子なんだから、体、大事にしなよ』



リビングを出る前に投げかけられた言葉。


砂川くんが口にした “女の子” というワードに過敏に反応して、胸がきゅう、と詰まる。



女の子、かあ。


砂川くんの目に、私はちゃんと女の子として映っていたんだって、なぜかそれだけのことで胸がいっぱいになった。



そんな私の気持ちを知ってか知らずか、砂川くんはじっと私を見据えたかと思えば、ふと気づいたように口を開いた。



「 “小春” と “ひより” で合わせて “小春日和”?」


「えっ……?あっ、うん、そうだよ」





突然呼ばれた名前にどきまぎしつつ、頷いた。



そう、砂川くんが言う通り。

小春の名前は、彼女が生まれた日がちょうど小春日和だったから、私の名前と合わせて付けられたの。



唐突すぎる話題に戸惑ったけれど、その戸惑いなんて次の一瞬できれいに吹き飛んだ。




< 66 / 311 >

この作品をシェア

pagetop