素直になれない、金曜日
心の中で言い訳しつつ、手のひらの隙間から砂川くんの姿を盗み見る。
すると、彼は相変わらず顔色ひとつも変えずに涼しい顔をしていて。
そんな姿につきり、と胸が痛んだ。
私は熱くなったり赤くなったり振り回されてばかりなのに、砂川くんは至っていつも通りで、その温度差に苦しくなる。
さっきまでどきどきしていたかと思えば急に苦しくなるし、自分でも自分の気持ちがよくわからなくなったとき。
「おねえちゃん」
かわいい声に呼ばれたかと思えば、葵依ちゃんが私のワンピースの裾を、つん、と引っ張って呼び寄せていた。
「どうしたの?」
視線を下げて、葵依ちゃんと目を合わせる。
「絵本……」
「読みたいの?」
リビングの隅の本棚を指差す葵依ちゃんにそう問えば、彼女は小さく頷いた。
それならば、と砂川くんに声をかける。