素直になれない、金曜日

「あの……、小春のこと」

「わかった」



お願いしてもいい? と尋ねる前に砂川くんは了承の返事をくれた。


その後すぐに小春のことを手招いてくれていたから、私のお願いしたかったことはちゃんと伝わっているみたい。



小春も砂川くんに懐いているみたいだったから、きっと彼に任せても大丈夫だろう。



そして、私はというと本棚から絵本を何冊か抜き取って、葵依ちゃんの前に並べた。

どれも小さいときにお気に入りだった絵本で、表紙のイラストが懐かしい。





どれにしようか、と葵依ちゃんに尋ねると

彼女は真ん中に可愛らしいお姫さまが描かれた、淡いピンク色の正方形の絵本を指差した。




「じゃあ、これにしよっか」




その絵本を手に取れば、葵依ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。


……懐かしいなあ、この感じ。


私は幼い頃絵本を読むのが大好きで、今家にある絵本はほとんど私のために両親や祖父母が買ってくれたもの。


だけど小春は絵本にはほとんど興味を示さなくて、遊ぶ時はもっぱらかくれんぼやおままごとだ。


この絵本だって、開かれるのはいつぶりなんだろう。


なんて思いながら、表紙をめくって文字を読みあげる。




「むかし、あるところにたいそう可愛らしいお姫さまが住んでいました────」





この絵本は、昔私がいちばん好きだったものだ。


幼い頃は一言一句間違えずに暗記してしまうくらい、毎日のように読んでいた記憶がある。




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