素直になれない、金曜日
.
.


午前中の授業が終わるとすぐに、逃げるように図書室へ駆け込んだ。



まだ砂川くんは来ていない。


私のほうが先に着くのは珍しいかも、と思いつつカウンターのところに座る。




……砂川くん、早く来ないかな。




そう思った瞬間、ガラガラと音を立てて扉が開いた。

まるで仕組まれかのようなタイミングに、どきん、と心臓が跳ねる。




もちろん、そこから入ってきたのは砂川くんで。




「あ、もう来てる」



既に中にいた私に気づいて、目を見開いた。




「あ……えっと、おはよう? あ、でもお昼だから……こんにちは?」



目を泳がせている私を見て、砂川くんが、ふ、と口元を緩めた。

そして、可笑しそうに笑いながら言う。




「おはようでもこんにちはでも、どっちでもいいけど」




そして、少し首を傾けた。




「なんか桜庭さん、いつもと雰囲気違くない?」


「え……?」


「空元気っていうか……何かあった? 大丈夫?」




< 99 / 311 >

この作品をシェア

pagetop