淡雪
「その点、対談方のほうは蔵宿師がいくら激昂しても軽く流してましたし、物腰にも隙が無い。あちらのほうが、よほど手練れだと見ましたね」
「それでは蔵宿師の分が悪いですね。それだけ力の差が歴然としていたら、喧嘩にはならないでしょうか?」
「うーん、どうでしょう。蔵宿師としての仕事の中ではやめて欲しいですね。そうなると、小槌屋さんとしても黙っていられないでしょうし。まぁあれだけ虚仮にされては、対談方に個人的に恨みは持つでしょうが」
黙り込んだ奈緒に、良太郎が、とりなすように明るく言った。
「そこまでのことは、我らには関係ないことですよ。対談方や蔵宿師などは、恨まれてなんぼです。双方承知の上での仕事ですから」
「そうですね……」
何となく沈んだ空気に、ごほんと良太郎が咳払いをした。
姿勢を正して、改めて奈緒を真っ直ぐに見る。
「奈緒殿。私は、持参金が得られず左衛門殿の昇進が叶わなくても、それとあなたのことは別と思っています。持参金を用意できなかったからといって、此度の縁組を破談になど、しないでくださいね」
澄んだ目で真っ直ぐ言われ、奈緒は頬が熱くなった。
ここまで想ってくれる良太郎の心は、泣きたくなるほど嬉しい。
なのに、それを上手に伝えられない。
結局俯き、ありがとうございます、と言うにとどまるのだった。
「それでは蔵宿師の分が悪いですね。それだけ力の差が歴然としていたら、喧嘩にはならないでしょうか?」
「うーん、どうでしょう。蔵宿師としての仕事の中ではやめて欲しいですね。そうなると、小槌屋さんとしても黙っていられないでしょうし。まぁあれだけ虚仮にされては、対談方に個人的に恨みは持つでしょうが」
黙り込んだ奈緒に、良太郎が、とりなすように明るく言った。
「そこまでのことは、我らには関係ないことですよ。対談方や蔵宿師などは、恨まれてなんぼです。双方承知の上での仕事ですから」
「そうですね……」
何となく沈んだ空気に、ごほんと良太郎が咳払いをした。
姿勢を正して、改めて奈緒を真っ直ぐに見る。
「奈緒殿。私は、持参金が得られず左衛門殿の昇進が叶わなくても、それとあなたのことは別と思っています。持参金を用意できなかったからといって、此度の縁組を破談になど、しないでくださいね」
澄んだ目で真っ直ぐ言われ、奈緒は頬が熱くなった。
ここまで想ってくれる良太郎の心は、泣きたくなるほど嬉しい。
なのに、それを上手に伝えられない。
結局俯き、ありがとうございます、と言うにとどまるのだった。