【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「はあ……。っていうかさ、ずっとこんな見苦しいやり取りばかり見せちゃってごめんね」

「あ、いえ……」

「で、どうだった?ちゃんと選んだ?」

「あ、はい。でもほとんど担当の方のお任せでしたけど」

「ああ、谷田部女史ね。あの人に任せておけばとりあえず間違いはないから。まあ、たまーにやり過ぎるところはあるけど。それと、今日選んでもらった分は明日届くようにしておくよ」

「はい……。えっと、お支払いはその時でもいいでしょうか?」


今日払うべきならそうするけれど、と思って聞いたのに、社長はさも珍しい生き物を見つけたみたいな目で私を見ている。


「えっと、いまのは冗談、でいいのかな……?」

「いえ、冗談ではないですけど。今日の方がいいと……」

「ちょ、ちょっと待って!ほとんど無理やり何着も選ばせておいて金払えとか、俺ってそんなひどくないよ?」

「でも今日選んだのは貸出し用じゃないって聞いて……」

「いやいやいやいや、君を秘書にしたの俺だし俺が払うよ!というか俺でしょ!」

「でも……」

「でもじゃないって!いやホントさ……、ああ……、まあ佐伯さんお金あるしね、そう考えるのも仕方ないのか……」


そう言って社長はさも落胆した様子で、後部座席のリクライニングシートにぼふっと寄りかかり、うーん、と頭を悩ませている。

私が普通じゃない反応をしたものだから、社長を悩ませてしまっているのかも。そう思うと申し訳なくなってしまう。
小さな頃から何不自由なく育てられたとは思うけど、金銭感覚は失わないよう、父から厳しくしつけられてきたつもりだ。

それでも普通の女の子の感覚は未だに掴めそうになく、たぶんそれが社長には受け入れ難いのかもしれない。
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