【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「ねえ美緒ちゃん、場所変えよっか。もう少し静かなところに行かない?」
「えっ……、でも……」
「ゆっくり聞きたいんだ。君がなぜ三原の婚約者になっているのか、それをなぜ佐伯の奥様はご存知ないのか」
「ど、どうしてそんな……」
「君が何者かバラすつもりはないんだ。ただ、君が三原と婚約した経緯を知りたくて。でも、教えないってことなら佐伯の奥様に直接聞いてみてもいいけど、それじゃマズいでしょ?」
「なっ……」
みぞおちの下がキリキリと痛むような不快な感覚。
佐伯の奥様、というのは私の義母だ。
私がもう関わりたくないと思うあの人。
しばらく会ってもいないのに、こうしてあの人の話を聞くだけで、思い出したくない過去がよみがえり私を苦しめる。
「じゃあ行こうか。ここじゃ他のやつらの視線もうるさい」
促すように私の背中に手を回して歩き始める剣崎さん。
さっきから暁斗さんの姿を探しているのに、どこにも見当たらなく、不安ばかりが大きくなっていく。