【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「美緒!」
全て諦め、目を閉じた私の耳に聞こえた声に胸が騒ぐ。
前にもこんな瞬間があった。私が今と同じように、剣崎さんに抱きしめられていたあの時。
やっぱり息を切らせて助けに来てくれたのはーーーー
「暁斗さん……!」
目を開けると目の前には暁斗さんの背中。
私と剣崎さんの間に割り込むように、暁斗さんが駆けつけてくれている。
ほっとして思わず上着の裾を掴むと、思いがけず後ろを振り向いた暁斗さんと目が合った。
けれどその目は優しさの欠片も見い出せないほど冷たく、さも私を軽蔑しているかのように見え、私はスーツを掴んでいた手をそっと離した。
「三原はさ、何でそんなムキになってんの。こんなの冗談でしょ。遊びだろ、いつもの」
「いいから離れろ。穢れる」
「は?なに、じゃあお前がそばにいるんじゃ美緒ちゃんとっくに穢れてるだろ」
「美緒はお前が手を出していい子じゃないんだよ。お前には他に山ほどいるだろ」
「山ほどいる女なんかつまらない。だったらお前が最近お気に入りの美緒ちゃんで、って思っただけ。何そんなにマジでキレてんだよ」
「ほっとけよ。お前にわかってもらおうなんて思ってない。ああ、そうだ、さっきお前のお母様に会ったぜ。直哉さんはどこって言ってお前を探してたぞ」
「っ……、お前……」
暁斗さんが剣崎さんのお母様の話を出した途端、剣崎さんの表情が一変する。
忌々しいものを見るような目で暁斗さんを睨み付けているその姿に、彼の隠された一面を垣間見た気がした。