【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「……あーあ、仕方ないか。行かなきゃグダグダうるさいし。……じゃあね美緒ちゃん。またね」
「また、なんてあってたまるか。早く行け」
靴音が遠ざかり、剣崎さんの姿が視界から消えた。
なのに暁斗さんは私に背を向けたまま動こうとしない。
「……あの……暁斗さ……っ!」
背中が柱にとん、とぶつかる軽い衝撃を受けた次の瞬間、私はついさっき剣崎さんに迫られていた時と同じ体勢にされてしまっていた。
私は再び柱へ押し付けられ、暁斗さんの逞しい腕が私を逃がさないよう取り囲む。
体勢は先程と同じだけれど、私の気持ちはまるで違っていた。
剣崎さんには恐れや嫌悪感しか涌かなかったけど、暁斗さんにはそんなことを感じるはずもなく、その瞳に私が映っているのが見えるとドキッと胸が踊りそうになったけど。
「暁斗さん……?」
名前を呼んでも暁斗さんの返事はない。
ただ黙って私をじっと見据えているだけ。
一瞬目が合った時に見えたのと同じ、冷たく、いつもの優しさなど皆無に等しいまなざしが私を動けなくさせていた。