浅葱色が愛した嘘




『てか、昨日…沖田さん島原行ったはずやで?
土方さんとアホ三人と一緒に。』



アホ三人とは無論、

原田、永倉、藤堂の事だ。



なにも知らない山崎は桔梗にとって触れてはほしくない所を突いてきた。




『会ったよ。


沖田さんに________。』



桔梗はそこまで言って言葉を止めた。


そして、



『でも、遊女を抱いている最中だった。』



見たくなかった現実を言葉にした瞬間、桔梗の目からは涙がこぼれていた。



たった半日で、心の傷が癒えるはずがなく、




その姿を見た山崎は




なんや___。こいつら両思いやないかい。

けんど、沖田さん、どないすんねや?


泣き顔さえもこんなに綺麗な女を

土方さんが放っておくんか?

土方さんだけやない。
そこら中の男が放ってはおかへんで。



山崎はポンっと桔梗の頭を撫でると、落ち着くまで隣にいた。




そして、




『すまない、取り乱したな。


私は……女を捨てた化け物だ。』




まるで最後の言葉は独り言かのように呟き、屯所の門をくぐった。



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