浅葱色が愛した嘘
次の日____________
『ん…ん~はぁ。』
桔梗は珍しく昼過ぎの時間まで眠っていた。
しかし、起こしに来るものなど誰も居ない。
もちろん沖田は部屋に居る訳もなく、布団は丁寧に畳まれ、隅に寄せてある。
土方たちは慣れない隊務で体が疲れているのだろう、と気を遣って起こさなかったのだ。
そのお陰で、桔梗はゆっくりと睡眠を取ることが出来た。
桔梗は簡単に身支度を済ませ、
一番隊を探すために部屋を出た。
外からは涼しい風が廊下を吹き抜けている。
島原とは違って静かで華やかさなどないこの場所は
いつしか桔梗にとっての居場所ともなっていた。