浅葱色が愛した嘘




桔梗は部屋にあった刀を手に取ると、小屋の付近にある大きな崖から飛び降りた。





風を切り、すごい勢いの風がその小さな体を包み込む。





ストンッ_____。


桔梗はゆっくりと地に足をついた。





『血の匂いがする___。』




人並外れた嗅覚と聴覚を持つ桔梗は、はるか遠くから匂う血の香りに誘われるように、町から少し離れた河原に向かった。



そしてしばらく歩くと川が見えてきた。


しかし、その川に近づくにつれて、だんだんと血の匂いで鼻が痛くなる。







『死体_____。』




あたり一面には斬り殺させたであろう、人間に死体が幾つも転がっていた。






桔梗は地面に転がった人間の死体を冷たい目で見下ろす。








『…………ん?』




ふと、遠くから聞こえる馬の足音。


それも数は多い。


桔梗は足音のする方へ体の向きを変え、刀を構えた。




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