浅葱色が愛した嘘
桔梗は刀に付いた血を振り落とし、刀を鞘にそっと収める。
両手にこびりついた血を川の水で洗い落とし、着物に付いた血は風が勝手に乾かしていく。
『一応は、狩りもできたし、
そろそろ戻ろうかな。』
桔梗はそう呟くと、軽々と崖を蹴るようにして登っていき、
山小屋へと向かった。
その途中、桔梗は何かの異変に気づく____。
小屋に近づくにつれて、又してもだんだんと強くなる血の匂い。
これは先ほどの男たちとは違う。
桔梗はこの匂いを知っていた。
『……………!?!?
まさか!?!?』
嫌な予感が桔梗を襲う。
この血の匂いは雛野だ。
転んで怪我をしただけの血の量ではない。
まるで誰かに斬られ、血が溢れたような、そんな大量の雛野の血の匂い。
桔梗は急いで山小屋へと向かった。