浅葱色が愛した嘘
『はぁはぁはぁはぁ……
雛野!!澄朔!!返事しろ!!』
桔梗は小さな体から懸命二人の名前を呼んだ。
何度、叫んでも返事が返ってくることはない。
小屋の襖を一つ一つ勢いよく開け、二人の姿を探しても、面影すらも残ってはいない。
ただ一つ残されているなは
大量の雛野の血の匂いと
少しばかりの澄朔と血の匂い。
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『君が……桔梗か。
噂に聞くよりも美しい娘だな。』
『誰だ!!!』
桔梗はその人物の気配には気づけなかった。
いつの間にか背後には一人男の姿。
桔梗は一瞬にして悟った。
この男はただ者ではない事を___。
この男は今までの人間とは違い、
殺気は手に取るように感じられる。
桔梗は幼いながらにも
本能で危険を感じていた。
『そんな怖い顔をするな。
俺は高杉晋作。長州の人間だ。』
高杉晋作_____。
長州_____?
桔梗はゆっくりと刀を構えた。