浅葱色が愛した嘘
『高杉、いたか?』
『あぁ、桂さん。
あなたのお目当ての女はここだ。』
また部屋の奥から男が現れた。
鋭い切れ目、
長い髪を高い位置で結ってあり、パッと見、好青年と思える。
桂と呼ばれた男は、桔梗を見つけ微笑んだ。
『…………な!?!?』
しかし、桂の右手には見覚えのある何かが握りしめられていた。
先ほどからした雛野の血生臭い匂い。
なぜ…どうして…何のために…?
桂の手には
髪の毛を鷲掴みにされた雛野の頭だけが、
無残にもぶら下がっていた。
『首を……切り落としたのか?』
まだ五歳の小さな女の子。
可愛らしいはずのその少女の両目は大きく見開かれ、口からは血を流していた。
切断された首からはドクドクと赤黒い血が溢れんばかりに流れ出ている。
『雛野………
お前ら、狙いは私だったんじゃないのか?』
桔梗は刀を握っていた両手に力を込めた。
『あぁ、その通りだよ。
ただ邪魔だったから片付けただけだ。』
桂は涼しい笑みを浮かべ、雛野の頭を放り投げた。