浅葱色が愛した嘘
コロコロと転がる頭。
体がどこにあるのかわからない。
桔梗は歯車が狂ったかのように桂に斬りかかった。
『おのれー!!!!』
小さな少女は無我夢中で刀を振り回す。
しかし、桂は余裕の表情を浮かべ、刀を避けていく。
何度立ち向かっても歯が立たない。
相手は人間なのに____。
自分は化け物なのに____。
なぜ、勝てない。
紅色に染まった瞳はただ真っ直ぐに桂だけを捕らえている。
(………………!?!?)
『くっ!!』
桂の首を取る事ばかりに気を取られ、背後に潜んでいた高杉の動きを把握していなかった。
間一髪の所で高杉の一撃をうけとめる。
『ふんッ。
この餓鬼。そこらの奴よりいい動きするじゃねーか。
いい目だ。
血塗られた運命を辿る化け物____。』
高杉はまるで狩りをするかのように、交わる刃先の音を聞き、楽しんでいた。