浅葱色が愛した嘘
『やめろ!!』
そんな叫びと共に澄朔が二人の間に割って入ってきた。
体中から血を流し、立っているのもやっとのように思えた。
『澄朔!下がって!
こいつらは危険だ!』
妖の本能が叫ぶ。
緊張の糸が全身に張り巡らされたような感覚。
初めて恐怖というものに足がくすんだ。
『桔梗___お前は逃げろ!』
澄朔は桔梗の体を突き飛ばし、小屋の外へと追い出した。
気づけば、小屋からは炎が上がり、煙が待っている。
『澄朔!!!』
彼は微笑んでいた。
桔梗を守れたと言う事にまるで安心の笑みを浮かべたかのように。
そして
『桔梗、生き延びろ。
そして、刀を_____一族に伝わる刀。探し出せ。』
澄朔は最後にそう言い残すと、
小屋の扉をピシャリと閉めた。