浅葱色が愛した嘘





『やめろ!!』



そんな叫びと共に澄朔が二人の間に割って入ってきた。



体中から血を流し、立っているのもやっとのように思えた。





『澄朔!下がって!

こいつらは危険だ!』




妖の本能が叫ぶ。

緊張の糸が全身に張り巡らされたような感覚。



初めて恐怖というものに足がくすんだ。







『桔梗___お前は逃げろ!』




澄朔は桔梗の体を突き飛ばし、小屋の外へと追い出した。



気づけば、小屋からは炎が上がり、煙が待っている。



『澄朔!!!』



彼は微笑んでいた。


桔梗を守れたと言う事にまるで安心の笑みを浮かべたかのように。




そして





『桔梗、生き延びろ。



そして、刀を_____一族に伝わる刀。探し出せ。』





澄朔は最後にそう言い残すと、



小屋の扉をピシャリと閉めた。


< 143 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop