浅葱色が愛した嘘




今宵の寝床を用意してくれたのは仲の良さそうな老夫婦。




この二人にとって桔梗は孫のような可愛さだったのだろう。



桔梗はふと目が覚めると刀を片手に、


眠りにつく、その夫婦に近づいた。





月夜の明かりに照らされ、刃先はギラギラと輝いていた。



しばし、血を吸っていなかったその刀はまるで血を欲しているかのように脈を打つ。






『_______すまない。』





桔梗は冷たくそう言った。



謝罪の言葉とは裏腹に、罪の意識など少女には全くない。


振り下ろした刀は老婦のわき腹を引き裂いた。






辺りに飛び散った血は、


老父の顔にべっとりとついた。





『なんじゃ…この生ぬるいものは…


ばぁさんや、どうかしたのかい?』


隣にいる妻に手を伸ばし、その異変に老父は気がついた。




ヌルヌルとした触感。



『な…なんじゃこれは!!』



暗闇ですらハッキリとわかる。



最愛の妻が血の海に飲まれる姿が血____




『ばっ、化け物だー!!!』





老父は桔梗の姿を映し出した。



そこには孫のように可愛らしいと思った瞬間の少女の面影はどこにもなく、



そこには赤く光る目を持つ化け物の姿。




懸命に逃げようとしたが、桔梗から逃げられる事はない。







そして、その日、


桔梗はその村の人間を皆殺しにした。






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