浅葱色が愛した嘘





この二人も千年桜に来るのは初めてで、その存在感に押されそうになる。




すると、遠くの方から刀が交わる音が聞こえた。






『総司、あっちだ!』






満月は異様に輝く、夏の夜。



血に染まりゆく運命(さだめ)の行方は誰にも分からない。





『______桔梗!』



沖田は桔梗の姿を見つけ、その名を叫んだ。



それに気づいた桔梗はゆっくりと二人の方へと振り向く。







『………総司?なんで…』




桔梗のその姿は傷から溢れた血で染まっていた。




なんで…ここに来た_________





ここはもう、戦場だ。



前を向けば、
昔、兄のように慕っていた澄朔の姿。








『桔梗…君には言わなければいけない事がある。』







……???



澄朔はゆっくりと目を閉じた。



しばらくの静寂が続く。


そしてなんの前触れをなく、開かれたその瞳は






赤く染まっていた____。



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