浅葱色が愛した嘘





ドカッ____。




腹を蹴り飛ばされた桔梗は大きく宙を舞い、沖田の目の前で転がる。




『桔梗!!!』



それは圧倒的な実力の差だった。


澄朔の力が桔梗を上回っている。



血だらけになり、美しい顔にはいくつかの傷があった。






『桔梗…もうやめよう。


このままだと、君が死ぬ…』





沖田は見ていられなかった。

愛する人が血にまみれ、傷だらけになり、それでも立ち向かっていく姿を___。




『ダメだ、総司。


私は戦わなきゃいけない。

勝たなきゃ死ぬ。勝てば生きる。
戦わなければ勝てない。


大丈夫。

私はこの世界に帰る場所がある。
総司……

お前がいれば私は何でもできる。』







赤く染まっている瞳は初めて誰かに微笑みかけた。


まだやれる。

まだいける。



裏切りものであった澄朔の首を取り、雛野を殺した桂を斬るまでは絶対に死ねない。



そして、総司。


貴方がいる限り、私は生きる事を諦めない。


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