浅葱色が愛した嘘
妖の力は半分未満の解放によって目の色が変わる。
そして、その力が半分を越えると、やがて尾が一本ずつ生えてくる。
だんだんと、中身だけではなく容姿まで妖になると言う事だ。
しかし、妖狐は別名、九尾。
その生えた尾が九本になった瞬間、全ての妖力が解放された事になり、
二度と、元には戻れなくなる。
心も体も完全なる妖となってしまう。
総司や…土方さんを守るためだ。
桔梗はそっと深呼吸をした。
体を流れる血を感じ取り、血管や細胞を組み替える。
心拍数はどんどん上がり、桔梗の体を包むように赤い蜃気楼が目に見えた。
『ほぉ、いつの間にか九尾本来の力を解放できるようになったか。
これでお前はただの化け物だ。』
澄朔はあざ笑うようにその光景を楽しんだ。
『私は血ではなく心で戦う。
自分の護りたいもののために戦場の立つだけだ。』
だんだんと桔梗からは尾が生えてきた。
今の私には守るものがある。
大切なものがある。居場所がある。
それをこんな奴らのために失うのはごめんだ。
桔梗は一気に澄朔に飛びかかった。