浅葱色が愛した嘘




大地が大きく揺れ、

桜の花びらは吹雪と化した。


激しくぶつかり合う両者。


澄朔からも尾が見えはじめた。







『これが…妖狐なのか?』



土方は唖然とその二人の様子を見ている。

沖田は拳を強く握りしめ、ただただ桔梗の無事を祈っていた。





人間同士の殺し合いなどたかが知れてる。


しかし、妖同士の殺し合いは、人間の想像をはるかに超えるものだった。






桔梗の赤い瞳は目の前の澄朔しか映していない。



憎しみ、恨み、復讐心が桔梗を強くした。



先ほどまで余裕の笑みを浮かべていた澄朔の顔も少しず歪みはじめた。




桔梗は呼吸する暇さえも与えない程の早さで澄朔に斬りかかる。







殺るか殺られるかは時間の問題だ…

早く終わらせないと…私の体がもたない。




血と戦う桔梗と、血で戦う澄朔。



守るもののために戦う桔梗と


己の欲望のために戦う澄朔。





実力は違えど守るものがれば自然に本来の力が発揮される。





桔梗は初めて澄朔のわき腹に刀を突きたてた。






『ぐはッ_______』





色鮮やかな赤い血…



血飛沫が辺り一面に広がった。


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