浅葱色が愛した嘘
人は出会いと別れを繰り返し、生きていく。
そして今日もまた一つの命が消えた。
『素晴らしい兄妹愛だね。』
憎き桂の声は嫌でも桔梗の耳に届いた。
『彼は頭のいい男だった。
それに強い。
怒らせたらこっちが殺られかねないからね。
でも…まぁ。
幕府を攻撃するために少しは利用できたから、いいか。』
フンッと小馬鹿にしたように鼻で笑う。
桔梗はゆっくりと立ち上がり、胸に手を当てた。
澄朔。
見ててくれ。
貴方が残してくれたものを私は大切にするから……
桂小五郎______。
私はこの日をどれだけ待ち望んできた事か。
お前を殺す事だけが私の生きる道しるべ。
桔梗の瞳はまたしても赤く染まった。
この力を使うのは今日で最後と願いたい。
力の込められた右手はしっかりと刀が握られている。
『お前の死をもって月は満ちる。
あの世で眺めるがいい……
私の美しい月を。』
この日をどれだけ待ちわびていたか。
お前を殺せることをどれだけ待ち望んでいたか。
桂……
『__________これで終わりだ。』