浅葱色が愛した嘘
傷口はあまりに深く、桔梗を抱きかかえている沖田の衣服にまで血はべっとりと付いている。
呼吸は荒くなり、酸素を失いかけているように、顔を歪ませていた。
『桔梗!しっかりしろ!
今すぐに屯所に帰るから、死ぬな!』
澄朔(あいつ)が守ってくれるんだろ。
だから、大丈夫だ。
桔梗、死ぬなんて僕が絶対に許さない。
沖田は桔梗を抱きかかえ、
そのまま馬へと向かった。
『……総司。桔梗は?』
少し離れた所で二人の様子を見守っていた土方は想像以上に桔梗から溢れる血の量に戸惑いを隠せなかった。
『大丈夫ですよ。
桔梗は死んだりしません。』
そう言った沖田の声も震えていた。