浅葱色が愛した嘘
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『…………ここは?』
桔梗はふと、目を開けた。
しかしそこは見慣れる新撰組の屯所ではなく、
真っ白な何もない空間。
そこに、桔梗は一人ポツンと立っていた。
身体の傷は消えている。
桔梗は自分が死んだのだと、悟った。
『ここは死後の世界か?
ふっ、今から地獄にでも落とされるのだろうか。』
数えきれない程の人間を殺してきた。
わが身の魂を潤すがために、
関係のない村人も躊躇することなく斬った。
辿り着く先は地獄だと、目に見えている。
すると……
『桔梗、君は還らなきゃダメだよ。』
声が聞こえた。
桔梗のすぐ後ろから。
聞き慣れた声。
振り向かなくてもそれが誰だか分かった。
『_______兄さん。』
そこには自分が殺したはずの澄朔がいた。
『兄さんって呼んでくれるなんて嬉しいね。
俺はずっとそう呼ばれたかった。
やっと夢が叶ったよ。』
澄朔は昔のような優しい笑顔だった。