浅葱色が愛した嘘
殺された相手に笑いかけるなど、どうかしている。
でも自分が殺した相手に会えた事を喜んでいる自分もどうかしている。
『私が憎くないのか?』
『なぜ?』
『貴方を殺した相手だから。』
私の言葉に澄朔は可笑しく笑った。
『俺が桔梗に殺される事を望んだ。
自分から仕向けた事だよ。
君は何も悪くない。』
その笑顔は本物だった。
こうしてまた会い、
こうしてまた話せる日がくるなんて前の私は予想なんてできなかった。
なんの前触れもなく、再会できた事を桔梗はただ嬉しく思っていた。
『所でここはどこだ?
澄朔が居るって事は、私は死んだんだな。』
桔梗は少し目を細め、 切なげに微笑んだ。
自分が殺した相手が目の前にいる時点で、死後の世界だということは明確だった。
だが、ここが地獄だとも思い難い。
『桔梗はまだ死んでなんかいないよ。
死ぬか生きるかの境目にいるって感じかな?
君を一人ここに置いたら、死を選びかねないかね。
だから俺がここに来た。
桔梗、君は還らなきゃいけない。
君には帰る場所がある。
君の帰りを待っていてくれる人がいる。
だから、こんな所にいちゃいけない。』
帰る場所______。
待っている人______。
_______総司。