浅葱色が愛した嘘





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『ん………』






『桔梗!?!?!?』





桔梗が目を覚ましたのは、気を失って二ヶ月後の事だった。



そして同時に視界に入ってきたのは、少し痩せた沖田の姿。




『やっと目を覚ましたんだね。


よかった……

本当によかった…

桔梗が死んじゃうんじゃないかって、僕は不安でまともに眠れなかった。』






震えていた。


声だって少し泣いていた。



沖田は弱々しい笑顔を浮かべ、桔梗を優しく抱きしめた。







『………総司。

すまなかった。
もうどこにも行かない。』





桔梗は初めて嘘をついた。



最初で最後の小さな嘘。


二人に永遠などないと知っているのは桔梗だけ。




妖となれば、心を失い沖田でさえも斬り殺しかねない。



それは一番、桔梗が恐れていること。




まだ時間はある。

今すぐに離れなくてもいいんだ。


だから、今だけは(ずっと一緒)だと、彼に言わせてほしい。




浅葱色の羽織をみにまとった少年は

愛する女がついた最初で最後の嘘を



信じ、愛した_________。





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