浅葱色が愛した嘘
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『最近、具合が悪いようだけど、大丈夫か?』
桔梗が廊下を歩いていると、斎藤が声をかけてきた。
あまり言葉を交わした事はないが、彼なりに桔梗の事を心配していた。
『あぁ。
直接、礼を言ってなかったな。
心配をかけてすまない。
ありがとう。』
斎藤は思った。
ここに初めてきた時に比べ、桔梗は素直になり、よく笑うようになったと。
それはきっと、沖田のおかげ。
『ならよかった。
お前の働きには驚かされてばかりだ。
非番の日ぐらいゆっくり休め。』
無口で無愛想だが、
斎藤からの優しさはちゃんと桔梗に伝わっていた。
(……ありがとう。)
桔梗がそう呟いた時、
全身から力が抜けていくのが分かった。
バタンッッ
『……!?!?澄朔!!!』
それは一瞬の出来事。
斎藤が背を向けて歩き出した瞬間、
桔梗は倒れたのだった。
『おい!しっかりしろ!』
斎藤は慌てて桔梗を抱きかかえる。
なんだよ、コイツ…
ちゃんと食ってるのか?
あまりの軽さに斎藤は驚き、
桔梗を抱え、監察方の山崎の元を訪れた。