浅葱色が愛した嘘
その後、少し横になっていたお陰か、桔梗もだんだんと落ち着きを取り戻していった。
そして山崎は気づいた。
『………澄朔。お前さん……
お腹に赤ちゃんおんねんで?』
桔梗の身体に新しい命が宿っている事に。
…………赤ちゃん?
桔梗のお腹にいるのは、紛れもなく沖田の子ども。
妖と人間の血を受け継いだ禁忌の子どもだ。
桔梗は何も言えなかった。
でも、嬉しかった。
沖田と離れたとしても
この子が自分の唯一の支えになるだろうと。
幹部の人間以外、みな桔梗の事は男だと思っている。
だから尚更、ここには居られない。
総司には、赤子の事も身体の事も全て黙ってここを出て行こう。
桔梗は全ての決心を固めた。