浅葱色が愛した嘘
その頃、千年桜では______。
『はぁはぁはぁ……
殺しても殺しても人が溢れてくる…』
桔梗は百人以上に囲まれ、苦戦していた。
『うっ……!
げほげほッ……』
戦いの途中、何度も心臓を握り潰されたような感覚に襲われていた。
自分の体内で、妖の血が全身を駆け回っているのが自覚できる程…。
赤い蜃気楼。
血に染まったそうな鋭い瞳。
ゆっくりとその背中から尾が生えはじめた。
『あ、あれが…妖狐か…
化け物がついに本性を表したぞ!!』
取り囲む人間は桔梗へと刃を向け、
正面から突っ込んでいく。
しかし、か弱い人間が桔梗に触れられるはずなどない。
パンッパン!!!
遠くから鳴り響いはずの銃声は桔梗の肩や足を貫いた。
痛みで視界が歪み、思わず膝をつきそうになる。
ドクンッ…ドクンッ…
と、静かに脈を打つ。
ダメだ……
これ以上は限界だ……
少し遠のく意識の中_____。
『総司…生桜…ごめんね…』
愛おしい二人の面影を探した。