浅葱色が愛した嘘
不意に沖田が桔梗の顔に手を伸ばした。
この前の事があったからあ桔梗は反射的にその手を払う。
『なに?また接吻をされるとでも思った?
っというより澄朔って結構、感度よかったっけ。』
薄く笑いまるで桔梗を見下ろした。
『逃がさないよ。』
沖田の声は桔梗の耳元でそっと囁かれ、
桔梗の腰に回された手は桔梗の動きを完全に封じていた。
けれど桔梗の髪を撫でる沖田の手は優しい。
『こんな細い腕で本当に大丈夫?
そんな白い肌が血に赤く染められるの?』
なぜ、そんなに悲しい顔をしているのか。
なぜ、そんな苦しそうな顔をしているのか。
桔梗には分からない。
『ごめんね、澄朔。
そんなに怯えないで。
なにもしないから。』
沖田はそっと桔梗の顔を両手で包み込んだ。
コツンと額同士を合わせる。
お互いの吐息がかかり、
体温がじんわりと伝わってきた。
『無理はしないで。
僕が絶対守るから。』
温かい。
人の手がこんなに温かい事を桔梗は初めて感じる事が出来た。
『ありがとう、沖田さん。
私は大丈夫だ。
もう遅い。そろそろ寝ようか。』
その後二人はそれぞれの布団で夜を明かした。