浅葱色が愛した嘘





桔梗でさえも気づかなかった。



自分に向けられた視線に。



少し離れた場所、桔梗を見つめる誰かの姿。






『白い肌に血を浴び赤く光る瞳が捕らえた先は地獄。

呪われた血には逆らえぬ。

本来、生きる事は許されない禁忌の女。


見違える程に美しくなったな。



桔梗……



だが、

その魂は醜くなった。

無残な程に………』




誰にもその声が届く事なく


ただ風にゆっくりとかき消されてしまった。




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