浅葱色が愛した嘘





あの日以来、桔梗は沖田とは距離を取っていた。




しかし、同じ部屋、同じ隊であるため最低限の言葉は交わしている。






桔梗の目はいつだって何も映してはいない。


心のない人形。



群青色の瞳が揺れることはない。




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コンコンッ




『土方さん、澄朔です。



入りますよ。』




スパーンッ




桔梗は話ながらも、土方の返事を待つ事なく、副長室の襖を開けた。





『てめぇッ総司と同じ事するな!




全く、隊長がアレだと隊士もこうなるのかよ』



ブツブツ文句を言いながら山のように溜まった書類を一つ一つに目を通す。


普段、他の隊士に厳しい稽古を与え、副長であるお方はいつも自室でのんびりやっているのかと思えば、



稽古よりも、隊務よりも何もりも一番大変な仕事を土方は一人で背負っている。




まぁ、ここの大将である近藤は全くもってこのような難しい事は苦手。




新撰組の頭脳となるのは、土方と山南、

そして、斎藤ぐらいといった所か。





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