浅葱色が愛した嘘
昨日のあの時以来、桔梗が沖田と顔を合わせる事はなかった。
妖の印である薔薇の刻印が沖田に見られなかったのは桔梗にとって幸いだった。
『澄朔、なにボケ~っと突っ立ってんだ。
早くいくぞ。』
土方に呼ばれ桔梗は荷物を手に土方の後を追った。
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『着いたぞ。ここが島原だ。』
門をくぐればあっという間に景色は変わる。
華やいだ常世の街。
道中には女が高価な着物に身を包み、上品にあるく姿はまさに可憐に咲く(華)
そのもの。
『花魁が待ってる。早くしろ』
土方は慣れた足取りで島原を歩いていってしまう。
桔梗はその後ろを必死に追いかけた。