浅葱色が愛した嘘
馬の刻。
日は完全に傾いた頃。
一人の禿が桔梗の元を訪れた。
『桔梗お姉様。
花魁がお呼びでありんす。
宴会はすでに始まっているでりんす故。
大広間に来ておくんなんし。』
まだ八つ程の小さな花。
いや、まだ咲き誇るのを待つ蕾のような小さな女の子。
こんな幼い子ですら、この地獄の生贄となる。
この世は残酷だ。
強き者は生き残り、弱き者は簡単に消される。
親切なぐらい、わかりやすい世界。
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大広間に着くと、すでに宴会は始まっており、二十人程の客が遊女と盃を交わしていた。
その中に花魁である吉乃の姿も見えた。
(!?!?!?)
吉乃が酒を注いでいる相手、見たことがある。
あの紫色の着物…
不気味に笑う薄っぺらい笑み。
『なにをしてるでありんすか。
早くこっちに来ておくんなんし。』
吉乃は桔梗を見つけ、自分の元へ呼んだ。