浅葱色が愛した嘘




毎度の事、原田、永倉、藤堂は遊女に酒を注いでもらい上機嫌。



三人でワイワイと大声で騒いでいる。




その傍ら、土方は数人の女囲まれ優雅に酒を嗜んでいた。








『沖田はん__どないたんでありんすか?』





ふと、一人の遊女が沖田の横に座った。




まだ若く、吉原でも人気のある遊女でもあった。



その美しさからは未来の花魁とまでも言われる程。



名は、空女(くうにょ)。


いかにも、この女に似合った名前だ。





『せっかくこの、島原に来たでありんす故、

もっと、あちきに笑顔を見せておくんなんし。』





空女は酒を注ぎながら沖田に話続ける。


がしかし、沖田の瞳は目の前にいる彼女でさえも映さない。




空女は悲しさあまり目を伏せた。




新撰組の隊士が島原を出入りする事はよくある話。



土方はもちろん、他の幹部の人間の非番などの日はよく訪れたりもする。



しかし、沖田は女よりも刀に興味がある人間。


島原に来るとこが少なかった。




女に全く興味がない_____。




そんな所に逆に惹かれたんだろう。









この空女という女は_______。




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