浅葱色が愛した嘘






『そういえば、昨日から(朱雀)という新しい遊女が入ったんでありんすよ。』





空女は会話が途切れないように話す。


でもそれは一方的に彼女が話し続けているようなものだった。





『それで、その女、一回見たんでありんすけど、


あちきも正直、驚く程の美しさでありんした。


沖田はんも惚れてしまうかもしりんせん。』




冗談っぽくおどけて、笑う。


そして、さりげなく沖田に寄り添った。






それでも沖田は表情を崩す事なく酒を口に運ぶ。



『沖田はん_____。』



まるで、空女は自分の存在自体がここに居ないような気がしてならなかった。



しかし、遊女である空女にとって
思いを寄せてる相手と触れ合えるのは生きる希望と言っても過言ではないほどの幸せだ。





そしてずっと酒を無言で飲み続けていたせいか、


沖田の頬はほんのり赤く染まっていた。







『おい総司~
なんだ、お前、酔ってんのか~!?


情けなねぇ~な。

空女さーん、総司を別室で朝まで介抱してやって。

こいつ、明日は非番なんだ』





(______朝まで。)



原田が酔った勢いで言った言葉は空女にとって嬉しい言葉だった。






『沖田はん、行きましょう?』




空女に手を引かれた沖田は案内されるまま別室へと歩いていった。




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