浅葱色が愛した嘘






その頃、



桔梗が辿りついたのは自室。




『はぁっ、はぁっ、はぁ。』




乱れる息を整える事は出来ず、悔しさで握りしめていた拳が震えていた。




お前にとって接吻は誰とでも交わせるものか?


お前にとって、体を重ねる事は容易い事なのか?




なにを馬鹿げた勘違いをしていたんだ。


沖田が…自分を好いているのだと。



大バカものだ。


好き。という言葉を聞いていないのにも関わらず、

ただ接吻をされたたげで、その気になって______。


あんな事、あの人にとっては誰とでも出来る事。




なぜ、もっと早く自分の気持ちに気づかなかった?


なぜ、よりによって、今気づいていまったのだ?





自分が













沖田に思いを寄せている事を______。





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