浅葱色が愛した嘘






初めて抱いた想い。



しかし、その結末は桔梗にとって刀で斬られたよりも痛く、耐えきれるものではなかった。





声にならない叫び、

言葉に出来ない想いはやがて涙へと変わっていった。



なぜ、こんな事で泣いている_______。



いつからこんなにも弱くなった?



人斬りとして歩んできた。



女など、あの日から捨てていたはずだ。




それなのに、今更…



人に想いを寄せるなんて…



『自業自得か_______』



桔梗は呆れたように、自分自身に笑う他なかった。


ただ静かに泣き続けた。



誰にも寄り添われる事なく、

独り部屋の真ん中で泣いていた。









『_______澄朔?』





そんな中、不意に誰かが桔梗を呼ぶ声がした。


でもそれが沖田ではない事ぐらい、うつむいている桔梗にだって分かる。









そこにいたのは………













『土方さん_____』






沖田と一緒にこの吉原に足を運んでいた土方だった。







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