浅葱色が愛した嘘
しばらく、桔梗は泣き続けていた。
土方は何も言わず黙って背中をさすり続ける。
鬼の副長と呼ばれている男が見せる、優しさ______。
桔梗は泣き疲れたのか、そのまま土方の腕の中で眠ってしまった。
『ったく、どんだけ無防備なんだよ。』
いつもは警戒心剥き出しのくせに。
めんどくさそうにしている土方だが、その目は温かく優しさに包まれていた。
『おいおい、まぢかよ。
こいつ、軽過ぎんだろ。』
布団に運ぼうと抱きかかえた桔梗は土方にとって驚く程の軽さだった。
こんなに小さく、こんなに、軽いのに
戦場では血をあびる。
桔梗の過去を知らない土方にとって、なぜ、そこまで長州への復讐のためにここまでするのかが分からなかった。
こいつもただの女なんだ。
普通に暮らしてればいいものの。
そう思いながらも、桔梗を布団に寝かせた。