仮面のシンデレラ《外伝》
ちらり、と僕を見上げた彼女は、まだ不安がっているようだった。
サラ…
彼女の乾いた髪を優しく撫でる。
「…つらかった…?」
「…!」
「…嘘をつかなければいけなかったんだよね?」
彼女は無言で頷いた。
僕の手にすり寄った彼女に、優しく囁く。
「ありがとう、話してくれて。」
僕の言葉に彼女は何度も頷いた。
僕の中に、もう疑いなんてなかった。
“彼女が、真実を伝えに僕に会いに来てくれた”
それだけで、十分だった。
静かな空気に包まれる中、エラが、ぽつり、と呟く。
「“最後”に…伝えられてよかった…。」
(え…?)
僕は、はっ、として彼女を撫でる手を止める。
上目遣いで僕を見上げた彼女は、冷静に言葉を続けた。
「…お義母さんにバレちゃったの。お仕事じゃなくて、湊人くんに会うために人間界に来ていることが。」
その時、本に広がった薔薇色の魔法陣が頭をよぎる。
(…まさか、あれが“罠”だったのか?)
エラは、小さく続ける。
「今日はね、シオリビトの扉じゃなくて、家の庭にある“隠し扉”からここに来たの。…本当はダメだけど、それしか方法がなかった。」