仮面のシンデレラ《外伝》

エラは、静かにまつげを伏せる。


「…私は、人間と深く関わることは禁じられている。不思議の国の警備隊であるジョーカーが警戒し始めた。…だから、これからは今まで通りには会えなくなる。…2人で映画を見ることも、ご飯に行くことも。」


“だから今日、全てを伝えるために、君はここに…?”


そんなことを口にしなくても、エラの表情が全てを物語っていた。

最後の最後まで、エラは優しい。

僕に未練を残させぬよう。

2人の関係に、しっかり“ピリオド”をつけられるよう。

僕らがお互いに抱く“想い”に、名前なんてつけないまま終わらせるために。

彼女は、僕に“別れ”を告げに来たのだ。


しぃん…


部屋が沈黙に包まれた。

僕は、彼女を受け止めたつもりだった。

だが、僕の想いでどうにかなる問題ではないらしい。

何も言葉が出てこない。


「…湊人くんに嘘をついたままにしたくなかったから…今日は、ここに来たの。」


エラは、そっ、とそう言った。

彼女は、視線を逸らさなかった。

時計の針が時を刻む音が部屋に響く。

エラは、ふっ、と笑った。


「…急に、ごめんね。…そろそろ出ないと。」

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