シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
悠季くんは私を見つめていた。にっこりと微笑んで。
心臓が早鐘を打つ。
『君、大丈夫? あのひと、すぐにああいうことするんだ。ごめんね』
『いえ、大丈夫です』
ひょっとして気づいていない?
最後に会ってからもう3年以上も経つ。忘れられいてもおかしくはない。それにバイトの日はメイクをきつめにしている。髪も引っ詰めたお団子ヘアだ。
それはそれで寂しいけれど、見つかるよりはましだ。頭を下げ、ありがとうございました、と礼を言った。
姿勢を戻すと悠季くんの目が見開かれていた。
『あれ……早百合さん? 早百合さんだよね?』
会釈してその場を離れようとした。でも手首をつかまれた。
『早百合さん、どうして逃げるの?』
『ひと違いです』
『この指輪、僕と同じだよ?』
つかまれたのは、左の手首。
ごまかせないと悟った私は悠季くんに向き直った。