シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

『ほんとに一日たりとも……』


そう答えると、悠季くんの顔は少しだけほころんだ。
自分が小さく告白してしまったことに気づいて、うつむいた。


『連絡なかったから、早百合さんは僕に会いたくないのかなって思ったけど。でもちゃんと会ってケリを付けたかったんだ、僕の初恋だし。それでフラれるなら納得もする。そう思って今日ここに来たんだ。でも……そうでもなさそうだね』
『ねえ。どうしてここがわかったの』
『早百合さんには悪いと思ったけど興信所にお願いした。勤務先と住所、あと……お子さんのこと。あの子が悠斗くん?』
『うん……』
『僕の子どもだよね? 誕生日から逆算したら僕たちがつきあってたころだったから』


認めざるをえない。仮にここで否定してもDNA鑑定に持ち込まれたらわかってしまう。

腹をくくる。悠季くんに迷惑はかけない。このまま私生児として育てる。その決意に変わりはないのだから。


『……うん。悠季くんの子』
『そう』
『驚いたでしょ? それとも怒ってる?』
『うん。びっくりした。でも早百合さんが突然いなくなった理由もわかったから怒ってない。僕に迷惑かけまいとしていなくなったんでしょ。ごめんね、僕、気づいてあげられなくて』


こんな風に温かな言葉をかけてもらえると思っていなかった私は思わず涙ぐんだ。勝手にいなくなって勝手に出産して、知らないところで血のつながった子が成長してたなんて、気味悪く思われるのが関の山かと思っていた。
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