シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

3年も離れていたのに時間の空白を感じさせない。あの頃にもどった気がして、私は悠季くんのパーカーをつかんだ。ずっとほしかったぬくもり。もっと触れてほしくて、自分からも唇を重ねる。

どれくらい、そうしていただろう。
キスは深くなって、浅くなって、離れるけど、また重なって。

本当は体の芯が熱くて、もっと悠季くんがほしかったけど、悠斗の前でそんなことはできなくて。

きっとそれは悠季くんもだったと思う。
唇を離すたびに、自身をなだめるようなため息をついていたから。

離れがたいけれど、いつまでもキスしているわけにはいかない。


『早百合さん。また、会ってくれる? 悠斗くんのこともあるし』
『ええ』
『今度はいなくならないで』
『うん。約束する』
『約束だよ?』



*―*―*


しばらくはまた忙しい日が続いた。春先は歓送迎会や企業や団体の総会も多く、そのあとの懇親会でひっぱりだこだった。週末だけの契約が平日にもヘルプ要請が入り、毎日遅くまで働いた。

それでも私は頑張れた。
悠季くんのことがあったから。

また会える。
連絡先はお互いに交換した。
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