シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

近づく顔、触れた唇。

それはすぐに深いものになって私の中を翻弄する。さっきまで聞こえていた波の音も悠季くんのキスにかき消されてなにも聞こえなくなった。

そのままもつれ合うように寝室に入る。ツインの部屋、片方のベットには悠斗がすやすやと眠っていた。今日は疲れたからよほどの物音を立てなければ目を覚ますことはないだろう。

お互いに服を脱がせ合い、一糸まとわぬ姿になった。悠希くんは一度後ろに下がると私を頭のてっぺんからつま先まで目で追った。熱を帯びた鋭い瞳で。

思わず両手で胸を覆った。


『やだ、悠季くん。恥ずかしい』
『そんなことない。すごくきれい。あのころよりも艶っぽくなって』
『でも、出産して体型とか』
『変わってない、全然。早百合さん……』


悠季くんは再び近づくと私の手を外し、そっと私に口づけた。その優しいキスは今の私を受け入れることを伝えるようだった。私の胸はきゅうと締めつけられた。

不意にひょいと体をすくわれ、ベッドに落とされた。
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