シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
『早百合さん、結婚して。裕福な暮らしはさせてあげられないけど、3人で暮らしたい。早く悠斗くんに会いたい。悠斗くん、怒ってない? 僕、お子さまランチ食べさせてあげるって約束したのに守れなかったから。謝らないと』
『大丈夫よ。もう小学4年生だもの。そこまで幼くないわ』
『そう。今はなにが好きなの?』
『食べ物はハンバーグかな、お肉ならなんでも。玩具はプラモデル。ゲームより手を使って作るのが好きみたい。手先が器用なの。悠季くん譲りなのかな』
『ふうん。僕のこと、認めてくれるかな……』
『あ……』
脳裏について浮かんだ悠斗の言葉。クラスメートの女の子が再婚した母親を気持ち悪がっていた話だ。いまはまだいい、小学生だから。頭ごなしにダメと叱ればシュンとして親の言うことを聞くだろう。でもあと数年すれば悠斗は思春期を迎える。親の小言など無視して終わりだ。
そんなときに私や悠季くんを毛嫌いしたりしないだろうか。私たちが嫌われる分には構わない。自分の存在を否定して道を外したりしないだろうか。叱ることも話すこともできず、私は悠斗を前を向かせることができるだろうか。